「営業所の技術者」と「現場の技術者」は別?その違いを法改正も踏まえ解説
こんにちは!八王子市の行政書士、吉村です。
建設業許可の申請や更新の際、「専任技術者(センニンギジュツシャ)」という言葉が必ず出てきます。一方で、工事が始まると今度は「主任技術者(シュニンギジュツシャ)」を現場に置かなければなりません。
「この二つは同じ人でも良いの?」「役割はどう違うの?」「最近、法律も変わったって聞いたけど…」
今回は、そんな技術者にまつわる疑問を、最新の法改正のポイントも踏まえてスッキリ解説します!
一言でいうと「会社に置く人」と「現場に置く人」
この二つの技術者の役割は、名前は似ていますが全く異なります。
① 専任技術者(専技)
- 役割:建設業許可を取得・維持するための「会社の技術的なお守り」
- 場所:許可を受ける営業所に常勤する
- 目的:適正な見積りや契約ができるよう、営業所に技術の専門家を置くための要件。
② 主任技術者
- 役割:個々の工事を適切に管理するための「現場の司令塔」
- 場所:担当する工事現場に配置される
- 目的:工事の品質や安全、工程を管理するための要件。
つまり、専任技術者は「許可」のために営業所にいる人、主任技術者等は「工事」のために現場にいる人、と覚えてください。
「一人二役(兼任)」はできるのか?
原則として、営業所に常勤すべき専任技術者と、現場に配置される主任技術者は兼任できません。しかし、以下の条件を全て満たす小規模な工事に限り、例外的に兼任が認められています。
- その営業所で契約した工事であること
- 工事現場と営業所の距離が近く、常時連絡が取れる体制であること
- 工事の請負金額が一定額未満であること(例:建築一式工事以外の専門工事で4,000万円未満、建築一式工事の場合は8,000万円未満)
知っておきたい!最近の法改正のポイント【2025年版】
近年、建設業界の人手不足などに対応するため、法律が改正されています。特に知っておきたいのが「技士補(ギシホ)」の誕生です。
新資格「技士補」の創設
これまで、技術検定(1級土木施工管理技士など)は学科と実地に分かれ、両方に合格しないと資格者になれませんでした。改正後は、学科試験に合格した時点で「技士補」という国家資格が付与されるようになりました。
監理技術者の負担軽減
これまで大規模工事に置く「監理技術者」は、一現場に専任が原則でした。しかし、この「技士補」を補佐役として現場に配置することで、一人の監理技術者が二つの現場を兼任できるようになり、技術者の有効活用が図られています。
これは、ベテラン技術者の負担を減らし、若手技術者の活躍の場を広げるための重要な改正です。
このように、技術者に関するルールは複雑で、時代に合わせて変化もしていきます。「この場合、兼任はできる?」「うちの会社の技術者は、新しい制度でどう活かせる?」など、ご不明な点があれば、いつでも私たち専門家にご相談ください。最新の法令に基づき、御社に最適なアドバイスをさせていただきます。